こんにちわ。
過去の失敗を思い返しては、「あぁー!もう!」と、1人叫んで寝る前に死にたくなっています、えんぴつ職人 (@MusicmanOf) です。
さて。
先日にこんなツイートをしました。
日本の映画館はもっと工夫できますよね。
1番前に人が座ってることなんてほとんど見たことありません。
☑︎座席の配置によって価格を変える
☑︎レイトショーだけでなく、上映の時間帯によって価格を変える
☑︎公開からの期間によって価格を変える経営努力が足りない気がします。 https://t.co/G8w12nWIfS
— ゆーだい@えんぴつ職人 (@MusicmanOf) 2019年5月11日
映画館の料金が1,800円から1,900円に上がるみたいですね。
理由は、「コストが増えたから」とのこと。
この価格を高いと思うか低いと思うかは人それぞれですが、中長期的な目線で見ると、今回の値上げはあまりいい方向に進まないような気がしています。
映画館は、チケット単価で勝負すべきビジネスモデルではないからです。
映画館の収益構造は、人が集まってなんぼのシステム。
映画館の収益は、おおよそ次の3つで成り立っていると思われます。
- チケット
- 飲食物(ジュース、ポップコーンなど)
- グッズ販売
どう考えてもチケット単価ではなく、より多くの人に来てもらって収益をあげる構造ですよね。
飲食物やグッズ販売の売り上げは、映画館にきてくれた人の数(動員数)に比例してあがります。
また、シアターの広さは一定です。広くなったり、狭くなったりすることはありません。つまり、同じ「1回」を上映するなら、ガラガラよりたくさんの人に入ってもらった方がいいわけです。
以上から、売り上げをあげるためにフォーカスすべきは「チケット単価」ではなく「動員数」となります。
チケット単価をあげて動員数が減れば、飲食物やグッズ販売の売り上げは確実に下がるので、コスト増を理由にチケット単価をあげるのは、イケてないとしか思えないです…。
では、「動員数」にフォーカスすることでなぜ売り上げが上昇するか、具体的に考えてみましょう。
少し工夫すれば、動員数は増やせます
仮に映画館の座席数を「300席」とします。
ボクが映画館に行くのは、公開から1ヶ月ほど経ったあとが多いのですが、その感覚でいくと、埋まってるのはだいたい後ろ1/3くらいです。かりに後ろ1/3が埋まったとして「100席」、料金が1,900円なので、売り上げは19万円ですね。
座席はまだ2/3空いています。これはもったいない…。
まずは真ん中の席を埋めましょう。
少し古い(2016年)ですが、映画館の料金として妥当な金額についてアンケートした記事を見つけました。
現在の映画鑑賞料金が「高い」と感じる人に、いくらが妥当であると思うか、その料金を聞いたところ、「1100円~1200円」が49.5%で最多。次いで「1000円以下」が20.7%、「1300円~1400円」が18.6%、「1500円~1600円」が11.2%という結果となった。
このアンケート結果から考えるに、チケット価格を1,000円まで引き下げれば、少なくとも真ん中の座席くらいは埋められそうです。(うまくいけば前の席まで埋められそうな気もします)
ここでチケット価格を全席1,000円にした結果、真ん中の座席1/3、つまり全体で2/3まで座席を埋めることができるようになったとしましょう。
「300席」の2/3ですから「200席」、20万の売り上げです。
これだけでもチケット1枚1,900円で販売した場合の売り上げを越えることができますが、チケットを安くするメリットはこれだけではありません。
最初にお伝えしたように、来場者が増えれば、飲み物やポップコーンなどの飲食物の売り上げも間違いなく上がります。
しかも映画料金が1,000円まで下がっているので、映画代金だけで1,900円払うことを考えれば、ジュース・ポップコーン買う人の数は、グンと増えるはずです。
さぁ、チケットに加え、飲食物でもさらなる売り上げを確保できるようになりました。ただ、この状態では、まだ前の座席1/3が空いています。
ここを埋めることができれば、もっと売り上げを上げられそうです。
では、残り1/3 の座席を埋めるためにはどうすればいいでしょうか?
…チケット価格を下げましょう。
価格を下げれば、ほぼ間違いなく前の座席1/3を埋めることができます。
そもそもなぜ前に座りたくないかというと、全席同じ料金なら少しでもいい席で見たい、という人間の心理が働くからです。
同じ料金を払うのに、首が痛くなる1番前の見にくい席で見るのは、損した気分になっちゃいますよね。
であれば料金を下げて、たとえば「前の座席ならチケット1枚500円で販売するよ!」と設定したとします。
これ、「500円なら1番前の席でも映画館で見ようと思いますか?」とアンケートをとれば、おそらくかなりの割合の人が「yes」と答えるはずです。
これで座席の前1/3も埋められたとしましょう。
1,000円 × 200席 = 200,000円
500円 × 100席 = 50,000円
売り上げの合計は25万です。売店で売っているジュースやポップコーンの売り上げも合わせれば、売り上げ額はさらに上乗せされるので、1,900円でチケット販売した場合とでは、最終的な売り上げ額が「1.5 ~ 2倍」ほど変わりそうです。
また、現代はSNSの時代。
映画自体がおもしろければ、口コミでのバズりも期待できます。バズればグッズなどの売り上げも、もっと大幅な増加が見込めるでしょう。(実際ボクはおもしろかったミュージカル映画のサントラとかよく買います)
すでにやってるところも多いですが、インスタ映えを狙って、館内に映画のワンシーンにでてくようなセットを準備しておくのもいいですね。
ほかにも、レイトショーみたいに上映時間によって、もしくは公開からの期間によって価格設定をかえるなど、いろいろ工夫できそうです。
顧客満足を考えれば、お金は後からついてくる。
チケット価格を下げたとき、仮説通りにすべてうまくいくかというと、もちろんうまくいかないところもあるでしょう。しかし、ロジックは成り立っているので、成功率はわりと高いと思います。
とはいえ、ボクが思いつくことなんて、映画ビジネスに関わるお偉いさんたちはとっくに気づいているはず…と思って調べてみたら、やはりすでに実験していたみたいで、以下の記事を見つけました。
一般料金を1,800円から1,500円に、高校生料金を1,500円から1,000円に値下げした新料金体系。一方でレディースデイ、シニアデイ、レイトショーなどのサービスを撤廃したことで、入場者数が減少。値下げによって減少分をカバーすることはできなかった。
……。
最初の方で引用した記事をもう一度確認しますね。
現在の映画鑑賞料金が「高い」と感じる人に、いくらが妥当であると思うか、その料金を聞いたところ、「1100円~1200円」が49.5%で最多。次いで「1000円以下」が20.7%、「1300円~1400円」が18.6%、「1500円~1600円」が11.2%という結果となった。
1,500円じゃいかないですよね…。
東日本大震災があった年だし、しかも実験期間はなんと「半年」
そんなのでわかるわけないと思うんですが、大人の世界にはいろいろとややこしい事情があるんでしょうね。
とはいえビジネスにおいて、いかに顧客満足度をあげられるか、にフォーカスすることはとても重要です。
この視点を徹底すれば、売り上げは後からついてくると思いますし、逆にお客さんを置き去りにしているビジネスは、短期的には儲かっても、中長期的には必ず衰退します。
大人の世界の事情を優先していると、大人の世界の住人含めてだれもハッピーになれないので、もったいないなぁ…。
それではまた^^
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